神奈川県横浜市鶴見区 岸谷の湧水 検査事例
井戸水検査.COMでは様々なお客様から水質検査のご依頼を頂いておりますが、湧水を汲んできて飲用しているお客様から水質検査のご依頼を頂く事もあります。
そこで検査事例として、「岸谷の湧水」を飲料水水質基準にもとづく水質検査をおこなってみました。
岸谷の湧水とは、横浜市鶴見区岸谷の国道一号線沿いの擁壁のパイプから流れでている湧水で、常日頃から水を汲みにくる方たちがいます。
交通量の多い国道一号沿いという事もありよく知られている湧水で、水を汲んでいる人がいる光景を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
そんな岸谷の湧水は果たして、飲用に適している水質なのでしょうか?
まさに国道沿いです。
近隣住人の方も汲みに来る湧水
現地にある注意書きによると昭和12年の第二京浜国道の建設の際に発見され、
災害時に利用できるように残されてきたものだとあります。
また、生水のまま飲まずに煮沸して飲むようにし、水質検査を行い安全を確認するように記載されています。
この時も年輩の男性が1人、ペットボトルに水を汲んでいらっしゃいました。
よく汲みにこられるのか訊ねたところ、「頻繁に来ている。」とのことでした。
(※上記ペットボトルは近隣の住人の方が水を汲んでる様子です。)
湧水の流れ落ちている小さな池には藻がたくさん生えています。魚などは特にいませんでした。
自主的に検査してみました!
今回の検査項目は、井戸水検査.comでも飲料水の検査としておさえておきたい項目がセットになっているスタンダードプラン26項目の検査をおこないました。
その結果がこちらです。↓↓↓
採水場所: 横浜市鶴見区岸谷
採水日 : 平成28年6月3日
採取時間: 14: 45
項目 | 単位 | 検査値 | 定量下限値 | 基準値 | 検査方法 |
一般細菌 | 個/ml | 0 | 0 | 100 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第1 |
大腸菌 | (100ml中) | 不検出(陰性) | — | 検出されないこと | 平15.厚生労働省告示第261号別表第2 |
鉛及びその化合物 | mg/l | 0.001未満 | 0.001 | 0.01 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
ヒ素及びその化合物 | mg/l | 0.001未満 | 0.001 | 0.01 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
亜硝酸態窒素 | mg/l | 0.004未満 | 0.004 | 0.04 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第13 |
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 | mg/l | 7.78 | 0.02 | 10 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第13 |
四塩化炭素 | mg/l | 0.0002未満 | 0.0002 | 0.002 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン | mg/l | 0.004未満 | 0.004 | 0.04 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
ジクロロメタン | mg/l | 0.002未満 | 0.002 | 0.02 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
テトラクロロエチレン | mg/l | 0.001未満 | 0.001 | 0.01 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
トリクロロエチレン | mg/l | 0.001未満 | 0.001 | 0.01 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
ベンゼン | mg/l | 0.001未満 | 0.001 | 0.01 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
亜鉛及びその化合物 | mg/l | 0.01未満 | 0.01 | 1.0 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
鉄及びその化合物 | mg/l | 0.03未満 | 0.03 | 0.3 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
銅及びその化合物 | mg/l | 0.01未満 | 0.01 | 1.0 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
マンガン及びその化合物 | mg/l | 0.005未満 | 0.005 | 0.05 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
塩化物イオン | mg/l | 17.3 | 0.2 | 200 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第13 |
カルシウム,マグネシウム等(硬度) | mg/l | 113 | 10 | 300 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第22 |
蒸発残留物 | mg/l | 241 | 20 | 500 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第23 |
有機物(全有機炭素(TOC)の量) | mg/l | 0.2未満 | 0.2 | 3 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第30 |
pH値 | — | 6.8(22.0℃) | — | 5.8~8.6 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第31 |
味 | — | 異常なし | — | 異常でないこと | 平15.厚生労働省告示第261号別表第33 |
臭気 | — | 異常なし | — | 異常でないこと | 平15.厚生労働省告示第261号別表第34 |
色度 | 度 | 0.5未満 | 0.5 | 5 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第36 |
濁度 | 度 | 0.1未満 | 0.1 | 2 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第41 |
アンモニア性窒素 | mg/l | 0.02未満 | 0.02 | — | 上水試験方法Ⅲ-2 8.2 (2011年) |
【 判定 】上記の検査項目につきましては、水道法水質基準に適合します。
ただし、アンモニア性窒素については水道法水質基準の対象範囲外です。
【 備考 】天候:晴れ、気温:27.5度、水温:18.0度
今回検査した項目については飲料水水質基準に適合し、岸谷の湧水は飲用に適している水質だということが判りました。
細菌検査の項目である「一般細菌」、「大腸菌」は共に検出されませんでした。
塩素消毒などをしていない湧水ですので「一般細菌」は検出されるもかもしれないと思っておりましたが、この日に採水した検体としては不検出でした。
金属や有機性揮発化合物などの人体に有害な物質もほとんどの項目が不検出でした。また、『硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素』が基準値内ではありますが、若干高めだったので継続的な検査をしたほうが良いと思いました。
思った以上に綺麗な水質だった岸谷の湧水が今後も地域の財産として守られていくことを願います。
※上記の飲用適の判定は、平成28年6月3日に採水した検体の検査実施26項目のみの判定です。水質は変化していく可能性があり、いつも飲用水に適しているとは限らず、弊社で安全を保障するものではありません。飲用の判断、煮沸などの対策は自己責任にてお願い致します。
※上記検査結果に関するお問い合わせは受付けておりませんのでご了承下さい。