千葉県君津市久留里 新町の井戸 検査事例
今回の井戸水検査.COMブログは、千葉県下で唯一「平成の名水百選」に選ばれている君津市の「久留里の名水」の飲料水水質検査をおこなってみましたので、検査事例としてご紹介致します。
久留里は上総国、久留里藩の城下町として栄えた町です。
久留里地区には驚くことに約200本もの自噴式の井戸があります。
実際に久留里の町を歩くといたるところに井戸があり、絶えず水が溢れ出ています。
この井戸の多くは「上総掘り」という明治20~30年頃にまでにこの地域で確立された掘り抜き井戸工法により掘られたものです。
「上総掘り」はわずか数人の人力のみで条件が良いと深さ500m以上の掘削が可能な為、昭和30~40年代に機械式ボーリングが普及するまでは日本中で利用されていました。また、現在では東南アジアやアフリカの発展途上国に日本からの技術支援にて伝わり、各地に合わせて応用され脚光を浴びているそうです。
上総掘りは、この様なやぐらを組んで掘削を行います。
久留里の井戸は地下400m~600mから湧き出し、乳酸菌やペニシリン菌など抗菌性土壌菌群を含む自然水の為、「生きた水の里 久留里」として地元では町おこしをしています。
飲んでみるとまろやかでとても美味しい水です。
日や時間帯によっては若干硫黄の香りがすることもありますが、一晩汲み置けば香りは消えるそうです。
そして今回、水質検査を行なってみたのは「新町の井戸」という一般開放されている井戸です。
検査項目はスタンダードプラン26項目です。
いつもの様に、気温、水温から測ります。
採水する水で採取容器をしっかり共洗いします。
採水完了です♪
そして、今回の検査結果がこちら!
採水場所: 千葉県君津市久留里市場
採水日 : 平成28年10月11日
採取時間: 16:10
項目 | 単位 | 検査値 | 定量下限値 | 基準値 | 検査方法 |
一般細菌 | 個/ml | 0 | 0 | 100 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第1 |
大腸菌 | (100ml中) | 不検出(陰性) | — | 検出されないこと | 平15.厚生労働省告示第261号別表第2 |
鉛及びその化合物 | mg/l | 0.001未満 | 0.001 | 0.01 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
ヒ素及びその化合物 | mg/l | 0.001未満 | 0.001 | 0.01 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
亜硝酸態窒素 | mg/l | 0.004未満 | 0.004 | 0.04 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第13 |
硝酸態窒素及び 亜硝酸態窒素 |
mg/l | 0.02未満 | 0.02 | 10 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第13 |
四塩化炭素 | mg/l | 0.0002未満 | 0.0002 | 0.002 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
シス-1,2-ジクロロエチレン及び トランス-1,2-ジクロロエチレン |
mg/l | 0.0002未満 | 0.0002 | 0.04 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
ジクロロメタン | mg/l | 0.0002未満 | 0.0002 | 0.02 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
テトラクロロエチレン | mg/l | 0.0002未満 | 0.0002 | 0.01 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
トリクロロエチレン | mg/l | 0.0002未満 | 0.0002 | 0.01 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
ベンゼン | mg/l | 0.0002未満 | 0.0002 | 0.01 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第14 |
亜鉛及びその化合物 | mg/l | 0.01未満 | 0.01 | 1.0 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
鉄及びその化合物 | mg/l | 0.07 | 0.03 | 0.3 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
銅及びその化合物 | mg/l | 0.01未満 | 0.01 | 1.0 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
マンガン及びその化合物 | mg/l | 0.049 | 0.005 | 0.05 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第6 |
塩化物イオン | mg/l | 6.6 | 0.2 | 200 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第13 |
カルシウム,マグネシウム等(硬度) | mg/l | 74 | 10 | 300 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第22 |
蒸発残留物 | mg/l | 171 | 20 | 500 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第23 |
有機物(全有機炭素(TOC)の量) | mg/l | 0.3 | 0.2 | 3 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第30 |
pH値 | — | 8.1(22.0℃) | — | 5.8~8.6 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第31 |
味 | — | 異常なし | — | 異常でないこと | 平15.厚生労働省告示第261号別表第33 |
臭気 | — | 異常なし | — | 異常でないこと | 平15.厚生労働省告示第261号別表第34 |
色度 | 度 | 2.8 | 0.5 | 5 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第36 |
濁度 | 度 | 0.1未満 | 0.1 | 2 | 平15.厚生労働省告示第261号別表第41 |
アンモニア性窒素 | mg/l | 2.1 | 0.02 | — | 上水試験方法Ⅲ-2 8.2 (2011年) |
【 判定 】上記の検査項目につきましては、水道法水質基準に適合します。
ただし、アンモニア性窒素については水道法水質基準の対象範囲外です。
【 備考 】天候:くもり 気温:19.0度、水温:14.5度
水質検査の結果としては、スタンダードプラン26項目において飲料水の水質基準に適合していました。
地域の人々の生活や観光まで支えてくれている豊かな地下水資源に恵まれた久留里の町がうらやましいですね。
久留里城や見学可能な酒蔵などみどころもありますので、井戸めぐり散策をしに「生きた水の町 久留里」を訪れてみてはいかがでしょうか。
※上記の飲用適の判定は、平成28年10月11日に採水した検体の検査実施26項目のみの判定です。水質は変化していく可能性があり、いつも飲用水に適しているとは限らず、弊社で安全を保障するものではありません。飲用の判断、煮沸などの対策は自己責任にてお願い致します。
※上記検査結果に関するお問い合わせは受付けておりませんのでご了承下さい。